Thursday, Apr 18, 2024
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詳しい解説もご覧ください。:「交通事故」に関する弁護士解説

過失相殺とは?

過失相殺とは,事故の責任が,加害者にだけにあるというわけではない場合,被害者の加害者に対する損害賠償額から,被害者の過失の度合いに応じた減額をする,というものです。

1 被害者にも過失がある

交通事故が起きた場合,一方のみに過失があるという場合は多くないかもしれません。交通事故の処理において,裁判所は,通常,双方に何らかの過失があって事故が生じている場合が多いと考えています。というのも,自動車を運転している以上,常に事故が起きないように注意していなければならないはずで,それでも事故が起きてしまった場合,多少でも,事故が起きないように運転する注意が欠けていたはずであると考えているからです。

ときに,加害者が交通法規違反をしているような場合でも,被害者の過失が認められてしまう場合もあります。例えば,加害者が,一時停止規制があるのに一時停止しないで交差点内に飛び出してきたため衝突してしまったという場合,しっかりと交通法規を遵守して運転していた被害者からすれば,一時停止もしない加害者に対して自分には何ら非がないはずと思うのもうなづけます。しかし,被害者に,一定の過失が認められてしまうのです。もちろん,この例では,被害者の過失の割合は相当低いでしょう。それでも,過失割合はゼロにならないことが多いのです。これは,少なくとも一時停止規制を守ることを前提に交差点内に侵入するのでなく,もしかしたら一時停止規制を守らず侵入してくる可能性も考慮して,交差点内に侵入するというかなり高度な義務を想定しているためです。そんなことを気にしていたら運転などできなさそうですが,自動車という危険な乗り物を使う以上は,細心の注意が求められるということなのでしょう。

2 どれだけの過失が認められるのかは実務上基準が存在する。

ある交通事故について,被害者,加害者にどれだけの過失が認められるのかは,現在,実務上,一定の基準が存在します。これは,道路交通法の規定や,一般的な注意義務などを考慮して,どちらの当事者にどれだけの過失があるのかという基準を一般的に示しているものです。

通常,どれだけの過失相殺をするのか,はこの基準を参照して行うことになります。ですから,事故態様さえ分かれば,過失割合の予測は一定程度可能です。ですから,保険会社などの過失割合の提示に納得できない場合には,近くの弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

3 過失相殺が認められた場合の処理

過失相殺が認められると,被害者の損害賠償額から過失の割合に応じた一定額が減額されます。また,加害者にも損害が発生している場合,加害者からの損害賠償請求が,被害者の過失の割合に応じて,認められるということになります。

たとえば,あなたに1割の過失があり,あなたに100万円の損害が生じており,他方,私に9割の過失があり,私に50万円の損害が生じている場合,あなたは,私に対し,100万円からその1割を差し引いた金額=90万円の請求を行うことができます。他方,私は,あなたに対し,50万円からその9割を差し引いた金額=5万円の請求を行うことができます。これが,あなたに2割の過失があり,私に8割の過失があったとすると,あなたは80万円の請求ができ,私から10万円の請求を受けることになります。もっとも,実際の処理は,自賠責保険や,任意保険からの給付もありますから,上記の例で,必ずしも90万円の請求しかできず,さらに5万円の請求を受けるというわけではありません。

いずれにしても,損害賠償の額に直接影響する過失割合の程度は,損害賠償請求を行うにあたって,極めて重要な事項ということになるでしょう。

本投稿は、2016年8月31日 更新時点の情報です。投稿内容についてはご自身の責任のもとにご利用ください。
■記事公開日:2015年9月16日 ■最終更新日:2016年8月31日

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