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弁護士への相談の仕方2016.08.31

弁護士へ初めて相談に行くことになったとき,どのように相談したら良いか,不安に思う方が多いのではないでしょうか。今回は,弁護士に相談する際のポイントをお話ししたいと思います。

1.相談する際に準備するもの

①事件に関係する書類

相手方から手紙や書面が届いているというような場合,そういった書面などは必ず持っていきましょう。書面を見ることで,相手方の主張の内容も分かりますし,相手方がどのような事実を前提にしているのか,推測することもできます。弁護士から書類が届いているという場合,どういった回答をすれば良いか,また,いつまでに回答しなければならないか,を把握するためにも,そういった書類を見る必要があります。

裁判所から書類が届いている場合,通常,重要な書類ですので,必ず持っていって,それがどういった書類なのか確認してもらいましょう。

②証拠となるもの

あなたが,証拠となるだろうと考えて取得したもの,保有しているものについては,一応全て持っていきましょう。それが,証拠としてどの程度有効なのかを把握することができます。こういった証拠がありますと口頭で説明されても,証拠そのものを見てみなければ,その有効性について,確実な意見は言えません。

③念のため印鑑

場合によって,至急,弁護士が受任して行動しなければならないという場合もあります。その場合,弁護士が相談者から委任状に署名押印してもらい,それをもって,弁護士が相談者の代理人として行動することになります。印鑑があれば,すぐに弁護士が行動することが可能です。もちろん,至急行動しなければならない場合でなければ,相談後,検討してから弁護士に依頼することになるでしょうから,印鑑が絶対に必要なわけではないですが,念のため持っていっておくのが良いでしょう。

④相談料

弁護士は,相談者に事件の詳細を語ってもらい,それを整理し,その経験と知識,保有している書籍,データベース等の膨大な情報を基礎にして,法的なアドバイスを行います。そのため,弁護士は,相談を聞き取り,その相談を元にアドバイスを行うことの対価として,相談料をいただいています。ですので,相談料がどの程度か,事前に確認し,相談料を忘れずに持っていくようにしましょう。一般的な相場は,30分5,400円(消費税込み)といったところでしょうが,もっと高い場合もありますし,逆に,初回相談料は無料だったり,交通事故や離婚の相談の場合には無料だったりします。相談料を無料にしているのは,相談料があるために弁護士への相談を敬遠,躊躇している方が多いため,より弁護士への垣根を低くするために行っていることが多いので,無料の相談だから質が低いといったことは,通常,ないと思います。

2.相談の際のポイント

①時系列をはっきりとする

いつの出来事かがはっきりしないと,事件の詳細が見えてこないことがあります。特に,事件の経緯は,法的な判断をするにしても,相手の行動の意図を予測するにしても,重要な情報となります。ある出来事をお話しする場合には,いつのできごとか,に注意して話をするのが良いでしょう。必ずしも,月日が特定されている必要はありません。覚えていなければ,何年ころで構いません。

②相談をして何を聞きたいのかはっきりとする

何をしたいのか,というのが分からないと,弁護士のアドバイスも曖昧なものとなりがちです。慰謝料を請求したい,離婚したい,といったあなたの希望をはっきりと言った方が弁護士のアドバイスも具体的となります。あるいは,これは証拠となるのか,離婚するにはどうすれば良いか,といった具体的な質問があれば,それに沿ったアドバイスを受けることができます。ですから,事前に聞きたいことを整理し,これとこれを聞きたい,と話をするのが良いでしょう。

そもそもどうしたら良いか分からない,というような場合には,「どうすれば良いか分からないので相談にきました。」と言ってもらえれば,弁護士は,何かできるのであれば,その方法をアドバイスし,何も出来ないのであれば,何も出来そうにないとアドバイスするでしょう。単に困っていますということだけを話してしまうと,弁護士も,単にそれは大変ですねという程度の返答に終わってしまうかもしれません。

③推測から離れて,事実を客観的に話す

私たちは,経験した事実をもとに,推測によって事実を評価し,その評価したものもまとめて本当にあったことのように考えてしまうことがあります。たとえば,「姑が私の悪口を言っていたんです。」といった場合に,あなたが姑から直接に悪口を言われたのか,姑が悪口を言っていると夫から聞かされたのか,姑がぞんざいな態度をとるため悪口を言っているに違いないと考えているのか,によって事実関係は大分違ってきます。特に,誰かから聞いた話をする場合,それは,その人が誤りなく真実を語っているということを前提とすることとなりますが,一般には,勘違いや,間違いがあったり,知らないうちに大げさに言っていたりするものです。確かな事実は何か,を常に意識することが必要となります。

もっとも,これは実際には難しいことです。優秀な弁護士は,こういったことに注意して,いろいろと質問をします。「姑が私の悪口を言っていたんです。」と言われれば,「あなたが直接言われたのですか?」と聞き返すことでしょう。ですが,弁護士にも思い込みにより,適切な質問ができないこともあります。なるべく,実際に経験したのはどういったことか,ということに注意しながら話をするのが良いでしょう。

④今後,どうすればよいか確認する。

最後に,今後どうすれば良いのか,確認しておきましょう。何も出来ずにあきらめた方がよいのか,自分で調停なり訴訟なりをした方がよいのか,あるいは弁護士に依頼した方が良いのか。弁護士に依頼するとした場合,どういった段取りとなるのか。あるいは,さらに証拠を集めた方が良いのか。いつのタイミングで,再度相談した方がよさそうなのか。今後どうするべきか確認することで,多少なりとも今後の生活が楽になることでしょう。

いかがでしたでしょうか。以上,いろいろと書きましたが,一番大事なのは,遠慮せず,弁護士から話を聞き出すことです。相談時間が30分であれば,自分の話は15分程度にして,残りの15分でできるだけ弁護士の話を聞きましょう。一番損なのは,散々自分の話をしたところで,「次の方が待ってますので。」といわれ,相談が終了してしまうことです。

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