後遺障害とは?
後遺障害とは,これ以上治療を行っても症状の改善が見込めない場合のことです。
交通事故で怪我をした場合,病院などで治療を行います。治療を行うことによって,通常,症状は改善していきます。逆に言えば,症状を改善するために行うのが,治療にほかなりません。ですが,人間の体ですから,全ての症状を完全に元に戻せるわけではありません。中には,どうやって治療しても,その症状は改善しない場合があります。分かりやすい例で言えば,失明してしまったような場合です。こういった場合,もう治療は行わないこととなりますが,交通事故による障害は今後もずっと残ることになります。場合によって,それは一生残ることもあります。こういった,症状,障害を後遺障害と言います。
こういった後遺障害がある場合には,後遺障害がない場合に比して,より被害者の被害の程度が大きいといえます。これから生涯にわたって,不自由な生活を強いられるのですから,それに伴う精神的苦痛ははかりしれないものとなります。そこで,後遺障害がある場合には,後遺障害慰謝料が認められます。
また,後遺障害がある場合には,その従事する仕事に影響を与えることがあります。仕事ができなくなり退職を余儀なくされる場合もありますし,これまでと同じ仕事を続けられるけれども後遺障害に伴う肉体的・精神的困難が伴うという場合もあります。こういった損害は,その収入に何らかの影響を与えると考えられます。そこで,後遺障害が残ると診断されたときから,一定期間(定年時までなど),その収入の一定割合について損害として請求することができます。これが後遺障害逸失利益です。
こうして,後遺障害が認められると,損害賠償額に,後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が加わることになります。そのため,後遺障害がない場合に比して,後遺障害が認められた場合の方が,損害賠償額(示談額)は飛躍的に増大することとなるのです。
■記事公開日:2016年8月31日 ■最終更新日:2016年8月31日