Saturday, Apr 27, 2024
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Frequently Asked Questions

詳しい解説もご覧ください。:「債権管理・回収」に関する弁護士解説

長らく代金を回収できていない取引先があります。営業は続いているようで,定期に請求書は送っていますが,最近は連絡もきません。どのようにすればよいでしょうか?

弊社に取引先の一つが,もう数年にわたって代金を回収できないままです。営業は続いているようなので,3か月に1回は請求書を送っています。最初の頃は,「申し訳ない,必ず払うから今は少しだけ待って欲しい。」「来年になれば支払えそうなので,そこまで待って欲しい。」などと連絡が来たのですが,今は全く連絡もきません。代金を回収できないのは歯がゆい思いがするのですが,かといって,お金がなくて代金を払えないのですから,弁護士に相談しても,「それは仕方がないですね。」で終わってしまいそうな気がして,これまで相談できないでいました。何か手を打った方が良いのでしょうか。

訴訟をし,判決を得ておきましょう。

 まず,定期的に請求書を送っていても,消滅時効が成立してしまいますので,代金等を回収できていない取引先がある場合には,早急に弁護士に相談した方が良いでしょう。
そのうえで,請求書を送ってもなんら回収できない取引先に対して,何かできることはあるのか,についてお答えします。
一般的に,弁護士が債権回収を受任すれば,内容証明による請求→訴訟→判決→強制執行という手段,手続を行います。最終的には,強制的に財産を差し押さえる,というのがゴールです。ここで,財産が明らかにありながら,代金の支払いをしないという場合,当然,訴訟をして判決を得てその財産を差し押さえることができるわけです。逆に言うと,だからこそ,契約をして代金の支払いに合意したのであれば,代金を支払うのが通常です。代金の支払いを得られていない原因には,大きく2つの原因があるでしょう。一つは,その請求に納得できていない部分がある。もう一つは,ただ支払う財産がない。最初の,請求に納得できていない部分があって請求に応じていないという場合,たとえば,商品に不具合があり,代金を支払いたくないというような場合です。こういった場合には,訴訟をして,判決を得ることで代金の回収につなげることができるでしょう。他方,支払う財産がないという場合,訴訟をして判決を得たとしても,そもそも財産がなければ回収をすることはできません。空の財布をいくら振っても何も落ちてこないのです。ですが,支払余力がないという取引先の言葉をそのまま鵜呑みにして支払いの猶予を続けているというだけであれば,本当に代金の回収ができないかどうかは,やってみなければ分かりません。全く営業をしていなければ回収できる可能性はかなり低いですが,少なくとも営業している取引先であれば,いくらかの売り上げはあるはずで,それを優先順位にしたがって経費等の支払をしているはずです。待って欲しいと依頼して待ってくれる債権者は,通常,一番後回しです。つまり,取引先に対して,優先順位をあげてもらう必要があるわけです。そこで,弁護士に債権回収を依頼し,内容証明による請求→訴訟→判決というプロセスを1回やってみるメリットが出てくるわけです。判決がでて強制執行を受けることになれば,営業が継続できなくなる可能性がでてきます。ですから,訴訟を提起されれば,今ある売り上げを振り分ける優先順位としては一番上に上がってくるわけです。
 こうして,ただ支払余力がないという取引先に対して,弁護士に依頼し,諸手続をとることで,債権回収がうまくいく場合というのが出てくることになります。もちろん,交渉により,一部免除したり,分割での支払いを受けるという形で合意することもあるでしょう。いずれにしても,一度弁護士に依頼して手続をとってみることです。もちろん,先ほど言ったように,空の財布を振っても何も落ちてきませんから,弁護士に依頼したとして,本当に取引先に支払余力がなければ代金を回収することはできません。だからといって,弁護士に依頼することが無駄,不要であるとは思えません。それは,先ほど言ったように,成功する可能性は残されているからです。空の財布を振っても何も落ちてきませんが,本当に空の財布かどうかを確かめるには,財布を振ってみるしかありません。だから,最後は訴訟をし,判決を得ておく必要があるのです。判決が出ても支払を得られず,差し押さえるべき財産も見当たらないとなれば,支払余力がないことがある程度確実となるでしょう。
 経営者にとってみれば,自社の商品やサービスは,自らの日々の努力の賜物ですから,その対価が得られないということほどモヤモヤするものはありません。毎年の決算報告でモヤモヤする取引先があるのであれば,一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。仮に回収できなかったとしても,しっかりと判決まで得ることで,そのモヤモヤが解消することもありますし,場合によっては支払を得られることもあるのですから。

本投稿は、2019年8月9日 更新時点の情報です。投稿内容についてはご自身の責任のもとにご利用ください。
■記事公開日:2019年8月9日

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